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Google は、展開中のキャンペーン "Googleで、もっと。" において、音楽系の新コンテンツ 『CHROME MUSIC MIXER』 をスタートした。

実在するアーティストによる歌や楽器の演奏など、4つのYouTube動画を自由に組み合わせて同時再生させることで、オリジナルのセッションを手軽に作り上げられるといった新たな音楽系のコンテンツだ。

■ Google 『Chrome Music Mixer』
http://www.morewithgoogle.jp/musicmixer/

ChromeMusicMixer.jpg

『CHROME MUSIC MIXER』 のサイトには、下記の説明が掲載されている。

Chrome Music Mixer は、4つのYouTube動画を同時再生できる、新しいミュージックコンテンツ。3ステップで誰でもカンタンに自分のオリジナルMixがつくれます。
まずは、歌や楽器がかなでるハッピーバースデートラックを使って、友だちの誕生日にお祝いMixを送ってみましょう。

[STEP.1]
まず、メインのメロディを下の音楽動画から1つだけ選んで上のお好きな枠にドラッグしてください。残りの3つの動画は次のSTEP2で選びます。

[STEP.2]
下から3つの動画を選んでドラック&ドロップで、4つの枠をすべてうめたら、NEXTボタンで最後のSTEPへ。

[STEP.3]
つくったMixにタイトルをつけて、右のボタンをクリックしてください。あなたのMixが再生できるウィンドウが表示されます。

Google が提供するブラウザ 「Google Chrome」 に、同社の運営による YouTube を絡める形で、エンタメ性を帯びさせたブラウザ普及活動の一環なのかな?といった裏ヨミはさておき、4枚のブラウザをミキサーに見立てて、音源+映像を同時再生させることで、オリジナルのセッションを作り上げるかのような雰囲気を出すといったこの新しい発想、まさに Google らしいなぁと思ったりもした。

公式な発表がされていないためか、ニュースとしてはあまり大々的に取り上げられていないようだ。見かけた記事を下記に再掲。

やくしまる、雅、ハラカミらYouTube同時再生でセッション
[2010年11月29日 / ナタリー]

Googleのサービスを多くの人々に紹介するためのキャンペーン 「Googleで、もっと。」 の一環として、音楽コンテンツ 「Chrome Music Mixer」 がオープンした。

「Chrome Music Mixer」 はWEBブラウザGoogle Chromeを使用して、4つのYouTube動画を同時再生するというコンテンツ。実在のアーティストによる歌や楽器演奏などを組み合わせてオリジナルの 「Happy Birthday to You」 セッションを作り出し、誕生日プレゼントとして友人などに送ることができる。

選ぶことができるのは、やくしまるえつこ、rei harakami、雅-MIYAVI-、サイトウ "JxJx" ジュン (YOUR SONG IS GOOD)、TUCKER、永井聖一 (相対性理論)、Cheru (PoPoyans)、Izpon&ジューシー (HIFANA)、ASA-CHANG、曽我大穂 (CINEMA dub MONKS) など22組による演奏。ユーザーはステップに沿って選択していけば、誰でも自分なりのセッションを楽しむことができる。

「Chrome Music Mixer」 使用可能動画

・ 電話 by やくしまるえつこ
・ スティールパン by 原田芳宏、山田園恵、比嘉美由樹(Panorama Steel Orchestra)
・ 弦楽四重奏 by 藤田弥生、丸山美里、菊地幹代、樋口泰世
・ ヒューマンビートボックス by Daichi
・ ブルースハープ by 曽我大穂(CINEMA dub MONKS)
・ アコースティックギター by 雅-MIYAVI-
・ シンセサイザー by レイ・ハラカミ
・ エレキギター by 永井聖一
・ グロッケンシュピール by Cheru(PoPoyans)
・ パーカッション by Izpon & ジューシー(HIFANA)
・ ドラム by ASA-CHANG
・ ベース by 南條レオ
・ フルート by 大塚茜
・ エレキギター by Merce Death
・ シンセサイザー by サイトウ"JxJx"ジュン(YOUR SONG IS GOOD)
・ エレクトーン by Tucker
・ スケボーパーカッション by スケーター
・ トイピアノ by 子どもの心を忘れない大人
・ 風船 by 風船好き
・ チャーハン by 料理人
・ ベル by 訪問者の方々
・ しっぺ by 我慢強い男

(参考) 『Chrome Music Mixer』 のネット広告画像

ChromeMusicMixer_ad1.jpg ChromeMusicMixer_ad2.jpg ChromeMusicMixer_ad3.jpg
ChromeMusicMixer_ad4.jpg ChromeMusicMixer_ad5.jpg

【関連リンク】

Google 『Chrome Music Mixer』別ウィンドウでリンクを開く
"Googleで、もっと。"別ウィンドウでリンクを開く
Google Chrome別ウィンドウでリンクを開く
YouTube別ウィンドウでリンクを開く

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前回の音楽ビジネスモデル探求では、購入した音楽データをインターネット上にアップロードして利用するサービスモデルの危うさについて事例を挙げた。

今回は、かつて存在していたサービス 「Sound Portal」 をピックアップしてみる。 (「Sound Portal」 は、株式会社リテールコムにより 2007年4月から提供されていたサービス。現在はサイトも閉鎖され、既にサービスが終了している)

「Sound Portal」 は、利用者が自宅などのパソコンに保存してある楽曲を、パソコン用ソフト 「Sound Portal プレーヤー」 のダウンロード転送機能を使って、インターネット経由で携帯電話に取り込む仕組み。外出中でもパソコン上の楽曲を携帯電話に転送して、楽しむことができるサービスとされていた。

前回取り上げたサービスとは異なり、サービス運営企業のサーバに利用者が音楽データを一旦アップロードする必要がなく、JASRACが管理する著作権 (複製権および公衆送信権) が及び、著作物の利用主体が運営企業とみなされることはなかったようである。(詳細は前回の記事を参照

パソコン用ソフト「Sound Portalプレーヤー」を使用するサービスで、利用料は1年間1,980円。

(・・・中略・・・)

ユーザーが所有する音楽CDを 「Sound Portalプレーヤー」 でリッピングし、パソコンのHDDに保存。「Sound Portalプレーヤー」 はサーバー機能も備えており、外部からのアクセスを待機。ユーザーは自分の携帯電話を利用して自宅のパソコンにアクセスし、保存されている楽曲をネット経由で携帯電話のメモリーカードなどにダウンロードできる。

リッピング時のフォーマットはWMA/HE-AACから選択可能。作成したファイルにはDRMなどはかけられていない。その代わり、ネット経由で携帯電話からアクセスされた際に、携帯電話固有の識別番号と、パスワードでユーザーかどうかを2重チェック。「万が一パスワードが他人に知られても、他人の携帯電話から楽曲を落とすことはできない」 (同社) という。また、サーバー公開の設定も手軽に行なえるとしている。

なお、ファイルにはDRMがかけられていないので、あらかじめ携帯電話のメモリーカードに楽曲ファイルを転送しておくことも可能。しかし、同社では 「メモリ容量の少ない携帯電話でも、いつでも好きな時に自分のライブラリから楽曲を取得できるのがポイント」 としている。

リテールコム、自宅PCの音楽を携帯で取得する 「Sound Portal」 家のライブラリをどこでもダウンロード。[Impress AV Watch]別ウィンドウでリンクを開く

「Sound Portal プレーヤー」 は、CDからのリッピング機能に加え、AAC/MP3/HE-AAC/OGG/WMAファイルのインポートや、iTunesで管理している楽曲をプレイリストに追加する機能、GracenoteのCDDBに対応して楽曲情報を自動取得したり、プリセット設定が豊富に登録されたイコライザ機能を搭載していたり、とミュージックプレイヤーとしての機能も充実していたようだ。

Vector の 「新着ソフトレビュー」 コーナーで、この 「Sound Portalプレーヤー」 が紹介された当時の記事がまだ残っていたので、参考までに一部転載。

パソコンに保存された音楽ファイルをインターネット経由で携帯電話に転送できるミュージックプレイヤー。

「Sound Portal Player」 は、音楽ファイルを携帯電話で再生できる形式に変換して、インターネット経由でダウンロード・再生できるミュージックプレイヤー。ジュークボックス機能を備え、楽曲の管理やプレイリストの作成・編集なども簡単に行える。CDリッピング、エンコードの相互変換、ライブラリ、イコライザなどの機能もある。AAC/MP3/HE-AAC/Ogg/WMAの各形式に対応する。

最大の特徴は、携帯電話に楽曲を転送できること。携帯電話で再生できる3GP形式に変換すれば、ソフトのサーバ機能によって携帯電話からダウンロードできるようになる。また、SDカード/miniSDカードなどの外部メモリを使ってファイルを転送することもできる。

楽曲の一部を切り取って、着信メロディとして編集・変換する機能もある。着信メロディ作成画面では、音源が波形で表示されるので、使いたい部分をドラッグ&ドロップで選択すればよい。選択範囲だけを試聴・確認することも可能だ。

Sound Portal Player 携帯電話に音楽を転送して楽しめるミュージックプレイヤー [Vector 新着ソフトレビュー]別ウィンドウでリンクを開く

上記の通り、個人利用の範囲内であれば、着信音に設定したい楽曲をピックアップして、取り込んだ楽曲から、自分の好きな部分を好きな長さだけ部分的に切り出し、着信音に設定できる着うた(R)作成機能も搭載されていたようだ。

また、利用者が所有しているCDのリストを公開したり、レビューを書いたりすることで、他のリスナーとのつながりが生まれる音楽コミュニティサイト 「レコラ」 と連動するといった、音楽SNSの要素を持つ付加サービスも提供されていた。

質の高いアプリケーションと綿密なオンラインサービスの組み合わせで、2007年当時であれば、なかなか面白いサービスとして受け入れられていたのではなかろうかと思われるが、2008年2月にオンラインサービスが休止、2008年9月に全てのサービスが終了している。

著作権管理上の問題点が発生した、自宅PCをサーバに見立てて接続する仕組みに解決しがたいセキュリティホールがあった、はたまた、パケット料金定額コースがまだ当時は普及しておらず、楽曲ダウンロード時に発生するパケット通信料がかかり過ぎて実質的には使われなかったとか、そもそも自宅PCに接続しに行くという仕掛けが一般ユーザに訴求しなかったとか、いろいろと勝手な憶測をしてみたり・・・

さておき、音楽という著作物の存在を前提として、それを携帯電話に転送するといった面で、内部的な仕組みの差はあるものの、前回取り上げたサービス と共通していると言えよう。

また、いずれも利用者に利便性を提供できる点に着目し、(そこにチャンスがあると) 可能性を見出したサービスモデルで、サービスを月額制の課金体型にして、開発コストの回収 (と利益) を狙ったものと推測される点も、両者に共通している点だ。

こういったサービスの充実によって、利用者が音楽に触れる機会が増え、音楽が何らかの形で売上につながるようになれば、結果的には音楽産業の活性化に、ひいては音楽という文化の発展にもつながっていくということができるのかもしれない。(成果がやや遠すぎるとか、許容範囲が広がりすぎる点はさておき)

上記のサービスの場合、サービス運営企業の株式会社リテールコムが、インデックス・ホールディングスとゲオの合弁会社として設立された会社であり、このサービスによって 「ゲオが推進しているCDのレンタル・セル・リサイクル販売のさらなる促進が目的」 と発表されていた。

利潤の一部を、アーティストなり著作権者に還元しようといった試みがあったのか否かは明らかではないが、音楽という著作物ありきの (背景にアーティストが存在する) サービスの場合には、自社の利益だけを追求するのではなく、そういった (金銭的な還元に限らない) ちょっとした配慮や文化的な貢献というマインドがどこかにあれば、著作権管理団体やレコード会社との衝突も極力押さえられるのではないかと思われる。

とはいっても、私的複製の範囲内のサービスを意図している場合には、業界団体側の主張する著作権使用料を支払うのは正当ではない、という話になったりもするのだろう。いずれにしても、一方的な権利行使や潰し合いの訴訟ではなく、共存共栄に向けて、生産的・実験的に新たな取り組みが模索・展開されていくことを期待したいと思う。

【関連記事】

音楽データをインターネット上にアップロードする(させる)サービスが持つ著作権違反の危険性
[用語解説] DRM / デジタル著作権管理
[用語解説] 着うた (R) / Ringtunes
[用語解説] CDDB / Compact Disc DataBase
[用語解説] Gracenote / グレースノート

個人が購入したCDなどから、楽曲データを自分のサイトやブログに無断でアップロードするして、不特定多数に公開 (ダウンロード可能に) するといったことは、著作権法上、違法行為にあたり、レコード製作者の権利等が侵害された場合には、違反者に対して罰則規定が設けられています。別ウィンドウでリンクを開く

このことは、今ではある程度インターネットユーザの間にも浸透したようで、「ファンだから」 「もっと多くの人に聴いてほしい・知ってもらいたいと思ったから」 など、どんな個人的な想いや理由があったにせよ、法律に違反したことになるということは、周知のことでしょう。

自分で購入した音楽という著作物を、個人的に使用するためにパソコンやiPodなどのデジタルオーディオプレイヤーに複製することは、「私的使用のための複製 (私的複製)」 とみなされ、権利者の許可を得なくてもコピーができる例外として、著作権法でも認められています。

[私的使用のための複製]
著作物などをコピーするときは権利者に許可を得るのが原則ですが、著作権法では権利者の許可なくコピーできる例外がいくつか認められています。「私的使用のための複製 (コピー)」 もその一つです。私的使用のための複製とは、個人的にまたは家庭内か家庭内に準じる範囲で使用することを目的として行うコピーをいいます。

■ 音楽CDと著作権・用語集 [(社) 日本レコード協会]別ウィンドウでリンクを開く

では、自分で購入した音楽を、あくまで個人的に使用する目的で、その音楽データを一度インターネット上にアップロードした上で (サイトやブログで、他人にそれとわかる形で表向けに公開したか否かには関わらず)、それを他の機器からダウンロードして個人的に楽しむとしたら、または、そのように楽しめるサービスを提供するとしたら、どうでしょう?

かつて、そのようなサービスが実在していました。
そのサービス名は 「MYUTA (ミュータ)」。

「MYUTA (ミュータ)」 は、利用者がPC内に保有している楽曲データをインターネット上に保存することで、携帯電話からダウンロードして聴ける仕組みを提供していたサービスで、2005年11月にベータ版としてのサービスが開始されました。

同サービスを提供したイメージシティ (サービス開始当初は株式会社コンピュータシティ) の親会社インフォコム株式会社による当時のプレスリリースによると、

携帯電話利用者が所有するCD楽曲等から自分で好きな音楽をパソコンに保存した後、「MYUTA」 を利用いただく事により、携帯電話でいつでもどこでもお楽しみいただけるシーンをご提供するものです。

■ パソコンと携帯電話の融合サービスの音楽版 『MYUTA』 サービス開始のお知らせ [2005年11月14日/インフォコム社 プレスリリース] 別ウィンドウでリンクを開く

とされており、パソコンから 「MYUTA (ミュータ)」 のサイトで会員登録した利用者は、無償貸与される専用ソフト 「MUSIC UPLOADER」 を使用して、ユーザ自身が所有している楽曲データ 150MB (約100曲分) 相当を、同社が提供するサーバにアップロードしてオンライン上に保存、その後、自分の携帯電話にダウンロードできる、といった形でサービスが開始されました。

会員個人のパソコンに発行されるアクセスキーと携帯電話固有のキーで紐付ける仕組みを導入することで、「自分だけの (オンリーワン)・安全な (セイフティー) ボックスをインターネット上に持つこと」 を可能にし、かつ、著作権法上で認められている私的複製の領域内のサービス位置付けと説明されていました。

インターネット上における自分だけのオンリーワンセイフティーボックス機能は、「自分だけのオンリーワンセイフティーボックス」という観点により、著作権法上で認められている私的複製の領域内のサービスとして位置づけられ、個人のパソコンに発行するアクセスキーと携帯電話固有のキーを紐づける事で可能となり、携帯電話利用者が所有するCD楽曲等のパソコンに取り込んだ個人使用を目的に収集した音楽データを、インターネット上に安心・安全な方法でファイリング/カタログ化し、携帯電話でいつでもどこでもアクセスやダウンロードしてお楽しみいただく事を実現します。

■ パソコンと携帯電話の融合サービスの音楽版 『MYUTA』 サービス開始のお知らせ [2005年11月14日/インフォコム社 プレスリリース]別ウィンドウでリンクを開く

わかりやすくいえば、ネット上にデータを保存する 「オンラインストレージサービス」 の音楽データ専用版、あるいは、一旦サービス提供会社のサーバに楽曲データを一時保管するものの、オンライン上に長期的に保存することが目的ではないとするならば、「携帯音楽転送サービス」 ともいえるかもしれません。

音楽配信サービスが続々と立ち上がったり、音楽を携帯電話で再生して聴く 「音楽ケータイ (音楽携帯)」 が登場してきた時期であったこと、また、携帯電話自体のデータ記憶容量がまだ少量だった当時、携帯電話向けの (音楽用の) ストレージサービスといった切り口は、サービスモデルとしては可能性を秘めていたものと思われます。

音楽データを他の人と共有したり再配布できると、著作物の取扱い上、違法行為になるため、パソコンに発行されるアクセスキーと携帯電話固有のキーで紐付ける仕組みによって、利用者だけが自分でアップロードした曲を、自分の携帯電話にダウンロードできる形に制約を設けるといった配慮もなされていました。

少なくとも、アップロードしたデータを不特定多数の人がダウンロードできるようなファイル共有サービスではなかったわけで、「私的複製」 の範囲内のサービスという説明がなされていたのは、この仕組みを導入した点にあったのでしょう。

サービスの本格開始後には、保存可能な容量を拡大するなどサービスを拡充させ、月額定額制の有料サービスとしての提供も予定されていました。

ところが、MYUTAの発表直後、日本音楽著作権協会 (JASRAC) は、イメージシティ社に対し、MYUTAのサービスには、JASRACが管理する著作権 (複製権および公衆送信権) が及び、著作物の利用主体が同社と認められるため、JASRACの許諾を得た上で適法にサービスを開始するよう申し入れたそうです。

両社間では合意に至らなかったものの、これを受けて、法的に危うい状況でのサービス存続を避けるためか、サービス開始のプレスリリースから半年も経たない2006年3月~4月頃に、同社は MYUTAのサービスを終了させました。

また、JASRACの差止請求権がMYUTAに及ばないことの確認を東京地裁に求めて訴訟を起こしました。

しかし、東京地方裁判所は2007年5月25日、携帯電話向けの音楽データのストレージサービス 「MYUTA」 に対して、JASRACが管理する著作権 (複製権および公衆送信権) に基づく差止請求権が及ぶとの判断を出し、棄却されることになりました。

この判決について、JASRACが同日に出したプレスリリースには、下記のような内容が含まれています。

今回の判決は、ユーザに対し著作物をアップロードさせるシステムを提供するというサービスについて、そのサービス提供者に著作物の利用主体としての責任が及ぶことを明確に示したものであり、高く評価されます。

■ 携帯電話向け音楽データのストレージ・サービス、音楽著作物の利用許諾が必要と判断 [2007年5月25日/JASRAC プレスリリース]別ウィンドウでリンクを開く

サービス提供企業側の主張は、アップロードする利用者と携帯電話で聴くユーザーが同一人物であり、これらの複製や送信は会員であるユーザー個人が行うものであることから、著作権法第30条1項の私的複製に該当するといったもの。

しかし、東京地裁は、MYUTAが貸与する専用ソフトを用いて、携帯電話用に変換された音楽ファイルが同社の管理・所有するサーバーに置かれ、そのサーバーから各会員ユーザーの携帯電話に送信されていることなどから、複製および公衆送信の主体は同社であると判断したといいます。

サービス提供会社のサーバにデータを (一時的にでも) 保管するといった点にポイントがあったのでしょうか。ちなみに、この判決による影響ではないかもしれませんが、判決の出た2007年は、大手ポータルサイト系を中心に、音楽配信サービスからの撤退が続々と発表された時期でもありました。

音楽業界では、新たなビジネスモデルを練り上げたとしても、著作権の絡みなど法律的・社会的に認められないといったことが、今後も十分にあり得そうです。(一時期、YouTube/Google 周りでも騒がれた時期が・・・)

例外を認めた場合のリスクを考慮すると、上記のようなケースも出てくるのでしょう。しかし、法的な面での制約が多すぎたり、「アーティストを守るため」 という口実の下、実は一部の利権を守ろうとするがゆえに、オープンな環境が失われた結果、ビジネスアイディアを出しにくくなったり、実際に新たなビジネスを興しにくくなるようなことが続くならば、産業としては停滞・減退して行かざるを得ないことになってしまうでしょう。

上述のサービスモデルを企画したり、私的複製の範囲に留めようとアイディアを出した方々、そしてそれらをサービスインさせるために、システム開発やテストに努められた方々には、個人的に拍手を送りたいと思います。

最後に、当時ネットユーザの間でもかなり取り沙汰されていたニュース記事を引用しておきます。(かなり恣意性を感じる文面ですけど・・・)

■ ネット上に音楽データ保存 携帯で聴くと著作権侵害?
http://www.j-cast.com/2007/05/28007968.html?p=all別ウィンドウでリンクを開く

[2007年5月28日/J-CASTニュース]

音楽データの 「オンラインストレージ」 サービスについて、サービス運営者は著作権侵害にあたるとの判決が下された。音楽データを個人が保存し、ネット上にアップして携帯電話にダウンロードする。こんな個人的な行為に対しても 「私的複製」 が認められないという驚きの判決だ。単にデータを 「仲介」 しているだけのサービス運営者もとんだとばっちりだ。

東京地裁 (高部眞規子裁判長) は2007年5月25日、携帯向けサービスなどをてがけるイメージシティが運営していた携帯電話向けのストレージサービス 「MYUTA (ミュータ)」 について違法だとする判決を下した。このサービスは、利用者が同社のサーバーに音楽データを保存し、携帯電話にダウンロードするというもの。日本音楽著作権協会 (JASRAC) が著作権侵害を指摘し、イメージシティが著作権侵害に当たるのかを確認するために訴訟を起こした。

サーバがファイルデータを送信している、というだけで 「違法」

判決文によると、イメージシティは、利用者は自分でアップロードした曲しか携帯電話にダウンロードできないことから、「私的複製」 であると主張していた。しかし、音楽ファイルが同社のサーバーに置かれた上で、そのサーバーから各利用者の携帯電話に送信されていることなどから、このサービスでの複製及び送信の主体は同社であり、不特定の者に対して送信していると判断された。このため、JASRACの許諾を受けない限り、著作権侵害に当たるとの見方を示した。

一方のJASRACは判決日の07年5月25日、「今回の判決は、ユーザーに対し著作物をアップロードさせるシステムを提供するというサービスについて、そのサービス提供者に著作物の利用主体としての責任が及ぶことを明確に示したものであり、高く評価されます」 と、東京地裁の判決を評する声明を発表している。

そもそも、今回のサービスはPCのデータを利用者が聴くという、極めて 「私的」 と思われるケース。判決文では、同社のサーバがファイルデータを送信している、というだけで著作権を侵害している、としている。これが著作権侵害となるようでは、著作物をアップロードさせることができるストレージサービス全般についても、著作権侵害が指摘されることになってしまう。

JASRAC送信部有線放送課はJ-CASTニュースに対し、今回のケースは専用のアプリケーションを使ってイメージシティ社のサーバ内のデータを送信していたことから著作権侵害が発生するとの見方を示した上で、「(ストレージサービス全般に) どういう権利が発生するのかは、個別に判断しなければわからない」 と、ストレージサービスがどういった場合に著作権侵害を問われるのかについては明確に示していない。

ヤフーは 「今後、対策を検討する」

しかし、大手企業が運営するストレージサービスについても今回の判決の影響が広がっている。

ストレージサービス 「Yahoo!ブリーフケース」 を運営するヤフーはJ-CASTニュースに対し、「今回の判決を受けて、今後、対策を検討することになる」 と答えた。「Yahoo!ブリーフケース」 について、同社は現在までに、ガイドラインで他人の著作物のアップロードを禁じるなどの対策を講じているが、あくまでそれは自己申告のかたちをとっている。同社も、公開されているファイルについてはパトロールをするなどの対策を取ることは可能だが、個別のストレージサービスをチェックすることはプライバシーなどの問題でできず、「異常にIDを取得する、ファイルを大量にアップロードする場合」 を除いて、チェックは不可能だという。

(・・・以下略・・・)

【関連記事】

パソコンと携帯電話で音楽データを私的に共有(複製)するサービス事例

【関連ニュース】

音楽データのストレージサービスは著作権侵害、利用主体はユーザーではなく提供会社に別ウィンドウでリンクを開く
   [2007年5月28日/CNET Japan]
音楽ストレージサービスには音楽著作物の利用許諾が必要~東京地裁別ウィンドウでリンクを開く
   [2007年5月28日/Impress INTERNET Watch]

【参考リンク】

音楽CDの利用について Q&A集 [コピー編]別ウィンドウでリンクを開く [(社) 日本レコード協会]
音楽CDの利用について Q&A集 [インターネット編]別ウィンドウでリンクを開く [(社) 日本レコード協会]

what's up next ? coming soon...

下記のような記事を準備中です。近々公開予定ですが、出回っている情報やデータの裏側を調べるのに、しばらく手間隙かかりそうなので、少々お待ちください。

■ 音楽業界の市場規模推移を、毎年の新譜数・デビュー歌手数・ミリオンセラー作品数の推移と共に振り返ってみます。

■ 鼻歌検索 / はなうた検索 / ハミング検索 / 歌声検索 / うたごえ検索 / 口笛検索など、いろいろな呼び方があるらしいアノ手のサービスについて、その技術的な背景とサービスの歴史を追いかけてみます。

■ 2010年8月22日にほんとに閉店になった HMVの国内1号店 「HMV 渋谷」。マスコミでもずいぶん取り上げられてましたね。ニュースとかで、正しい解釈ではないと思われる情報やデータを結構見かけたので、何かしら別の切りクチをからめた記事を練っているところです。

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